精神

「才能のある子のドラマ」アリス・ミラー 引用

P.10 この人たちが相談にきますと、最初の時間から、自分たちの両親、少なくとも両親の一方は大変理解のある人だった、とか、周囲が自分のことを理解してくれないことが、ままありはしたが、それはおそらく自分のせい、つまり、自分が自分を理解してもらえる…

未来という感覚

幼い頃に、自分と分かち難い存在が若くして突然にこの世を去る。 わたしは子ども特有の回復力で日々のことに紛れ埋れ吸収し伸びて行く時間をすごす。 いちばん近しい家族でさえ胸を撫で下ろす。理屈の通らない話だと分かっているのに、自分が長くは生きない…

薄明から(引用)

人は薄明のうちに、謎とともに生まれる。もしも運命という石が見出されたとしたら、人はそれを限りなく透明になるまで、飽くことなく磨きつづけることだろう。ある人にとって、絵を描く行為は、このような薄明のなかから生まれるのだ。その種子は無心の巣の…

呼ぶことができるためには名前が要る

起きようとしても起きられないあまりにも強い夢の中であなたの名前を呼んだ。あなたはどこにもいない。わたしがその名前に綻びを作り、どんな風に呼んでいたかその響きの閉じるところを忘れてしまってから。 だから夢の中でもわたしはあなたの名前を発音しな…

「自殺と想像力」

『今年、自殺が急増しているというが、考えに考えて自殺を選ぶ人たちの悲劇は、そこに到るまでに懸命に働かせただろう想像力を、自ら閉じてしまうことの悲劇でもある。初めから想像力など一切捨てたかに見える政治家が容易に自殺しないのに比べて、物を考え…