物たちからの問いかけ、到達しない愛(引用)

しかし、かれら物たちのすべてが、私の認識の枠のなかで、飼い馴らされ、おとなしくしているわけではない。
ある物たちは絶えず私に問いかける。
いや、私に謎をかけるのである。
私はかれらを鎮めるために、言葉を考えてやらねばならない。それがいまかれらに支払ってやれる私のせい一杯のものだ。

瀧口修造「物々控」’65
コレクション瀧口修造4所収、余白に書く

そんな悲劇が起こることの無いように、私はあえて彼女たちのガラスのリボンを解きます。人に愛されるだけの人形ではなく、人を愛する事のできる人形に。常に話しかけ、耳をかたむけ、人を愛することのできる人形に。
注意深く、彼女のガラスのリボンを解くのです。それが私の仕事だから。

天野可淡
『KATAN DOLL』所収エッセイ

神よ、わたしに
慰められることよりも 慰めることを
理解されるよりも 理解することを
愛されるよりも 愛することを
望ませてください。
自分を捨てて初めて
自分を見出し
赦してこそゆるされ
死ぬことによってのみ
永遠の生命によみがえることを
深く悟らせてください。

『平和を願う祈り』後半部
アッシジ聖フランシスコ

※死ぬことによって、とは安易に解釈するような「尊い犠牲」として自分を刻み付けるような醜悪なことではないだろうことは併記しておきます。