触れられない呪い

なんの慰めにもならないけれど。
私以外の人には。

私の形が変わったのだとはじめに教えてくれたのは私ではなかったんだと知った。
私が元通りにすぐになるはずだと思いながら、二度と元通りにならないことを教えてくれたのは私ではなかったんだと知った。

二十歳過ぎた頃、お前なんか死ねばよかったのにという言葉が頭のなかをまわって、その言葉は強く、重く、出てくるたびに心臓を締め付けるようだった。

私は私が自分にそう思っているのだと、今まで思っていた。

目に映らない私。
通らない道理を説かれる。
様々な前提を抜かした、けれどそれがなになのかまだ説明できない前提を踏みつけながら、視線は合うのに、
その目に映らない私。
通らない道理。

重くなる舌、力の抜ける喉。
私より先にあきらめる私の身体。

前の通りでない私ならば死ねばよかったのに、と、教えてくれたのは私ではなかったようで、そんな呪いさえ、気がつくことができなかった。
物理的に、外そうとしても、誰のせいとわかっていても。
それは認識まで落ちてこなかったために触ることのできない呪いだった。

呪いをかけた人はもう、何十年も先の未来へ行ってしまったけれど、今日、それに触れた。

ほどけたのかどうかは、知らない。