下りていく

下りていく

手つかずの場所から刈りとってくる

わるい記憶の季節から

永遠のように小さく 心を動かした 思い出を

小石の中のきらめきのように かすかなものを

より分ける


そこは洞穴だ

水もあれば灼熱のマグマも煮えたぎる

年月を凝縮させた洞穴

(そこには黒い血もまたあるだろう)

下りていく 物理的な直喩はなしだ

下りていく