青_1999


セイ
あお
セイタカアワダチソウ

アオイ色
青い色
いろめきたつ
タチバナ
中道を行く
砂煙の立つ
土埃の立つ
乾いた夏
目も上げられぬ
日光
焼けつく
嫉けつく
付け焼き刃の
想い
想念は
熱に溶け
夏に解け
嫉かれて消えて
それはなかった暗箱
の底へ
突き落とされる
白日のもとで
殺されたカゲロウ
蓋をした箱の底
低い声で唸り続ける
振動
カタカタ
あけろ
あけろ
白日はあきらかに
あきらかな
命を好み
引き上げられる刹那
引き伸ばされる刹那
刹那の快楽に
天高く飛ぶ永遠の子
溶けて落ちる
夏の効用
草の陰は濃く
夏の闇もまた濃く
乾いたヒル
湿ったヨル
熱の思いに満ちた空気を
身に受け止め
すべての思い
叶えるといい
刹那の魔法
刹那の邪法
闇の濃いうちに
いちにちの命のカゲロウ
小さな羽音生み出す振動
燃える命
摩滅した感覚に
見過ごされ
殺され果てる
ものとせぬ
踏みとどまれ
踏みとどまれ
日々の闇
人の闇
闇は見ずともそこにあり
目隠し鬼さん
手の鳴る方へ
その音はおまえの心臓
その鼓動
手の鳴る方へ
手の鳴る方へ
手の鳴る方へ